千葉県大多喜町の大多喜城下駐車場内にある町観光物産センターに「ギャラリー&工房 AMIDA YOU」という陶芸のギャラリーができていました。
車で通っただけでしたが、「体験」という文字が見えたのでUターンして寄ってみる事にしました。
貼ってある掲示物のどこかに体験と書いてあるのですが、車を運転しててその小さな文字が目に入って来るなんて運命の出会いだったりして。
ちょうど先生がいて、ウエルカムな雰囲気で「今からでも大丈夫」との事でしたが、翌日改めて体験させていただく事になりました。
予約をおすすめしますが、これから紹介する半日で体験できる手軽な物からありますので、千葉へお越しの際の日程にご検討いただければと思います。
ギャラリー&工房 AMADA YOUの場所
千葉県夷隅郡大多喜町大多喜488
0470-84-0664
開館時間 10:00~16:00
(12:30~13:30休憩)
開設日 金・土・日・祝
(土は2週と4週)
開館時間 10:00~16:00
(12:30~13:30休憩)
開設日 金・土・日・祝
(土は2週と4週)
※先生の予定が空いてればそれ以外の日でも可能
体験時間 午前の部 10:30~12:30
午後の部 14:00~16:00
システム
陶芸教室
・月4回コース(2時間30分×4回)10,000円
・月2回コース(2時間30分×2回)5,500円
・電動ろくろコース 6,500円
※他に入会金5,500円と材料費等かかります。
体験コース(要予約)
・1日体験(2時間)4,400円~
材料費込み(湯呑程度)~
・下絵付け(30分)2,200円~
材料費込み(湯呑程度)~
・本格体験(2時間×4回)10,000円
※各料金は税込みです。
今回は4,400円の2時間コースで自分の茶碗を作る事にしました。割れてしまい、お客用の茶碗を使っているので。
大多喜焼とは
このお茶碗いいですよね。先生の作品です。
大多喜焼は明治から昭和前期に鈴木菊太郎さんという方が、地元の土を使って製作販売していた物です。
その技術を元々陶芸家だった井口峰幸さんが継承して復活させました。
そしてこの大多喜に移住し地域振興のために力を注いでいます。
鈴木さんの技法は100%地元の土を使っていましたが、土が大きく縮む性質のためとても難しいのだそうです。
そこで信楽等の土を混ぜる事による、独自の製法に改良しています。
体験で預った物がお渡しまでに割れてしまう等という事がよくあったのだとおっしゃっていました。
これは地元の土を100%使った作品。
「売って欲しい」と言われる事が多いが売らないらしいです。
「同じものを作れないから」という事でした。ギャラリーには先代が作った大きな皿の写真が貼ってありましたが、「こんなのはできない」という事。
奥が深いです。
体験しながらたくさんお話させていただきました。そういう所も体験の楽しみです。
千葉県指定伝統工芸品
千葉県指定 伝統的工芸品の指定基準は
製造工程の主要部分が手工芸的
伝統的な技法で製造
原材料が伝統的に使用されてきた物
県内で一定期間以上製造されている
などがあって、井口さんの尽力で大多喜焼の技術が県で指定されました。
千葉県内で陶芸というと有名ではないが、これを機に広めていきたいという事でした。
先生は多くの展覧会に出展しながら、地元の障害者施設で指導したりと忙しくされているようです。
体験開始
体験は400gの土で湯呑くらいの作品を手びねりと言って、手で押したり伸ばしたりして成形していきます。
私は「小さくてもいいので茶碗が作りたい」とお願いして、茶碗を作らせていただけることになりました。
道具です。左のタイルのような物は色のサンプルです。
焼きは先生がする事になるので、仕上がりの色を指定します。「作りながら考えて下さい」という感じです。
本格体験の4回コースは釉薬掛けや仕上げもできるので、より自分のイメージする作品が作れますが、私の場合は「まずどんなのができるのか?」を見てからなので、成形までのコースにしました。
教室になると電動ろくろが使えたりするようです。
まずは玉作り。丸めるだけです(笑)
これを回転する台に叩きつけます。弱くてやり直しになりました(汗)
ちゃんとに張り付いてないとだめなのだとか。というか命中しなかったらヤバいじゃないですか(汗)
次はうまくいって成形開始です。
側面が7~8ミリ、フチが5ミリ、底が7~8ミリくらいがベストという事で、針を刺して厚さを見ながら伸ばしていきます。
どう伸ばしていけばいいのか、いまひとつわからないまま進めているとフチにひびが入って来ました。
「これをあえて残す名人もいますが、割れの原因のひびかもしれない」というので、雑巾で水分を与えながらひび無しの方向でいくことにしました。
大きさ的には良くなってきました。焼くといくらか小さくなるといいますがまだ完成がイメージできません。
もう少し下を絞ってみようか?とか微調整に入ります。
形が決まり、道具の中にあった分度器と同じような形をしたへらで内面を平らにしていきます。
5分ほどやっているとコツがつかめます。
どうですか。つるつる。完璧でしょ。先生にも褒められました。
もうこのあたりになると自分の作品への愛着が半端ない。陶芸楽しいかも。
内側にバカラカプリのロックグラスような波を入れたつもり。
出来上がりに現れてくれるといいのですが。
10分ほど天日干しして表面を軽く乾燥させます。すごくないですか?出来上がりが楽しみ過ぎます。
底のバリを削って指でこすっていきます。最後の仕上げです。
きれいに出来ました。
名前など書き込んで完成です。
〇にOは大多喜のO、大多喜で体験して製作した作品という印で、9は仕上がりの色の番号です。濃い色の方にしました。
まとめ
朝10時から始まってあっという間にお昼になってました。
初めてやる事の体験系を無事終えたあとの清々しい空気が好きです。
工房のとなりには食事処があるので、お城の雰囲気の中で蕎麦や団子や焼き魚でランチは最高です。
作品は先生に預けて受取り後日になるそうです。
上手にできていたら今度は本格的にやってみようかと思っています。
なかなかこのように手軽に体験できないと思いますし、夢中で土を触ると心がリフレッシュできると思います。
ぜひ体験していただいて、大多喜焼の魅力を伝えていただければと思っております。
【追記】 仕上げと完成品
焼きあがったという連絡をいただき受取りに行ってきました。
最後の仕上げをやらせてもらいました。
底の部分がガリガリしていてテーブルに置くと傷がつくという事で、同じ陶器どうしを擦り合わせて削ります。
茶碗の台のような部分ですが、割れやすいのでこういう体験ではつけないのだそうです。
作業をしながら焼きの工程について説明していただきました。
左のコップ型が土を乾燥させた状態です。
ここで釉薬につけると土なので溶けてやすいので、700度~800度で8時間ほどゆっくりと素焼きにします。
それが右のお皿。
生徒さんの作品だそうですが素敵ですね。
そして釉薬をつけて1,250度で12時間焼きます。
とにかく時間をかけてゆっくり熱を加えていくことが大事なんだそうです。
そして、これが私の茶碗です。
傑作!
内側にバカラカプリのロックグラスように波を入れたのが良い感じで出ています。
よく割れないで頑張ってくれた!と褒めてあげたいです。
ありがとうございました。
大多喜はたけのこ狩りや本多忠勝が城主だった大多喜城もあり、いすみ鉄道・小湊鉄道のローカル線も人気です。
そちらについての記事もありますので、よかったら覗いてみて下さい。