いつか行ってみたいと思っていた「矢切の渡し」
以前柴又帝釈天に行った時には休みで乗れず、「次に来た時は千葉県松戸側から乗ろう」と決めていました。
そして今回実現したのですが、松戸側から乗って正解でした。
なぜそう思ったのかを交えながら紹介します。
松戸側乗り場へのアクセス
千葉県松戸市下矢切1257
0473-63-9357
10:00~16:00
3月中旬~11月は毎日運行
12月~3月は土日祝のみ運行休航
(12月29日~1月8日が毎日運行)
雨天・荒天休航
料金 大人(中学生以上)200円
小人(4歳以上) 100円
(障害者は付き添い1人含め半額)
自転車は空いている時のみ可能(200円追加)
松戸側の乗り場への最寄り駅は北総鉄道 矢切駅で、徒歩20分ほどかかります。
北総鉄道は京成高砂から千葉県北部へ走る鉄道で、都営浅草線に乗り入れています。
それ以外には、土曜・休日に松戸駅から乗り場の近くまでバスが走っていますが、平日は市川駅と松戸駅を結ぶバスの下矢切バス停から徒歩となります。
私は総武線 市川駅からバスに乗りました(1番乗り場)
30分ほどで矢切駅に着きました。
目的の下矢切はもう1つ先のバス停です(市川から300円)
矢切駅からも下矢切バス停からも矢切の渡しまでの時間はさほど変わらない感じですが、下矢切の方が少し近いのかもしれません。
初めて来た場所はワクワクしますね。
ビッグボスの先を左に入って行きます。
ほとんど下りです。
里見氏と北条氏が戦った戦場
しばらく歩くと矢切神社があったのでお詣りして行く事にしました。
500年前、里見氏が国府台城の大堀に第六天を奉安したと書かれています。
里見氏と言えば千葉県南部の安房ですが、ここで北条氏と戦ったのですね。
目の前には庚申塚(こうしんづか)があって、その事について書かれていました。
当時関東は北条氏の勢力下にありましたが、安房の里見氏が佐竹氏や上杉氏と手を組んで勢力拡大を図ったのだそうです。
結果は里見氏は敗れて安房に戻るのですが、一般人も含めて多くの犠牲者が出ました。
そして、二度とこのような事を起こさないよう、庚申仏や地蔵尊に祈って来ました。
矢切という地名は、矢を憎むという意味の「矢切れ」「矢切り」「矢喰い」から来ているのだそうです。
野菊の墓の舞台
高校時代、松田聖子の映画の影響で野菊の墓の小説を読んだことがあるのですが、ここが舞台だったとは知りませんでした。
野菊の墓は千葉県山武市の伊藤左千夫の小説で、ストーリーを簡単にまとめるとこんな感じです。
政夫という青年がいました。母が病気だったため従姉妹の民子が手伝いに来ました。無邪気に戯れる2人を、世間体を気にする母が引き離しにかかります。引き離される事によって2人の気持ちは恋に変わります。2人が会わないように政夫は街の学校に行かされたり、帰省する時には民子が実家に帰らされてしまいます。そして、一緒になる事を夢に見ながら2人は二度と会えず、後に民子が亡くなっている事を知らされます。遺品には政夫の写真が…という切ない物語で、2人が待ち合わせた場所が野菊の墓文学碑がある西蓮寺です。
その時に泣きながら乗せられるのが矢切の渡しの舟なのです。
昔は江戸城の防衛のため江戸川に橋がかけられていませんでした。
下総と江戸の境なので関所を通らないといけない状況でしたが、農家の人々は川向こうの畑に行くなどの理由があると特別に渡し舟で移動する事が許されていました。
しかし、それ以外の人が渡るには農民の格好をしたりして命がけとなります。
細川たかしの歌の歌詞も、「親の心にそむいてまでも恋に生きたくて、舟に乗り息を殺して身を寄せながら、噂悲しい柴又を捨てて知らない土地をめざす」という内容ですね。
歩きながら、そのようなエピソードを学べて気持ちが盛り上がって来ます。
河川敷が近くなって来ると広大な土地が畑になっています。
無人直売所には「矢切ねぎ」と書かれていました。
すごい元気に育っていますね。
ほとんど下りなので気持ちよく歩いてきたら駐車場がありました。
ここに停めて柴又を散策して戻って来るのもいいですね。
でも逆の場合、柴又から来たお客さんが「降りて何かある?」って船頭に聞いていて、「何も無いと言えば何も無いけど、何も無いのがいいという人もいるので、そういうのが分からない感性の人は降りないで帰るのも大丈夫ですよ」というふうに答えていたのですが、確かにそうですよね。
私は戦国時代の戦の事と野菊の墓の事で「いよいよ渡るぞ」と盛り上がっていますし、これから江戸に行くというワクワク感がピークに達していますが、柴又から来たら「そのまま乗って帰るか」となりますよね。
そこが、松戸側からがおすすめな一番の理由です。
駐車場の所に松戸駅からここまで来るバス停がありました。
このバスは土曜・休日のみ運行です。
そして、土手を越えた先に乗り場があります。
乗り場近くは河川敷ゴルフ場になっていて、ホールとホールの間を通り抜けて行きます。
向こう岸が柴又です。
昔は江戸川を使った流通が盛んだったので、賑やかだったでしょうね。
しばらくすると舟がやってきました。
時刻とか関係なく、行き来している感じですね。
川から見た松戸側の乗り場です。
風情がありますね。
船頭さんのトークがおもしろ過ぎで、笑いながらあっという間に柴又側に到着。
こちらは野球やサッカー場で、土手の上に来ると金八先生が歩いて来そうな景色です。
なかなかこういう景色を見た事が無いので新鮮でした。
柴又駅までは徒歩10分ほどで、途中には帝釈天や参道がありますので最高の散策コースです。
帝釈天には有料で入れる「彫刻ギャラリー」があって、圧巻の作品の数々を見る事が出来ます。
写真に収めて来ましたので、よかったらご覧ください↓
駅までの参道はさびれ感が無くとても賑わっています。
あんこたっぷりの草だんごが美味しそうでした。
また、木彫りや家紋グッズなども興味深かったです。
そして柴又駅まで来ました。
映画で、寅さんの部屋に荷物が無くなっているのに気づき、駅まで走って来た妹のさくらが「お兄ちゃん」って声をかけて、「あばよ」とか言っている定番のラストシーンの銅像が哀愁漂います。
まとめ
都会のニュースポットもいいですが、歴史を感じる事が出来るこのような散策コースもいいですね。
今回のコースは総武線 市川駅から松戸行きのバスに乗り下矢切バス停で下車、徒歩20分で矢切の渡し 松戸側から舟に乗り柴又に渡り、帝釈天を経由してして柴又駅までのコースでした。
約2時間の所要時間です。
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