2023年9月13日、上総十二社祭りが4年ぶりに行われました。
この祭りには神事としての意味があって、それを知って見ると感動も大きくなるかと思います。
神幸祭の宮出しから宮入まで同行し、その様子を記録して来ました。
上総十二社祭りの目的
上総十二社祭りは玉前神社(たまさきじんじゃ)の御祭神である玉依姫命(たまよりひめのみこと)とその一族の神々が、玉依姫命が上陸された場所である釣ヶ崎海岸で年に一度再会するためのお祭りです。
一族の神々は、鵜羽神社・橘樹神社・玉垣神社・南宮神社・二宮神社・三之宮神社・玉前神社元宮神洗神社・和泉玉崎神社・中原玉崎神社・椎木玉前神社・綱田玉前神社・谷上神社に祀られています。
神輿は玉前神社2基、南宮神社2基、和泉玉崎神社1基、中原玉崎神社1基、椎木玉前神社1基、綱田玉前神社1基、谷上神社1基の計9基がそれぞれのコースを通って釣ヶ崎海岸に集結します。
一宮町・いすみ市・長生村・睦沢町・茂原市という複数の市町村が関わって、1つの祭りをやるというのも珍しいのではないかと思います。
この祭りは1200年以上守り伝えられた歴史のあるものであり、千葉県指定無形民俗文化財に指定されています。
釣ヶ崎海岸は2020年東京オリンピックでサーフィンの会場となった場所です。
また、春分の日と秋分の日に太陽の通り道が、玉前神社→寒川神社→富士山山頂→七面山→竹生島→元伊勢 皇大神社→大山 大神神社→出雲大社をつなぐ一直線になる御来光の道 レイラインの一番最初に当たるため、関東屈指のパワースポットと言われています。
これは6月に七面山から見た御来光です。
春分の日と秋分の日に釣ヶ崎海岸から昇った太陽をここから見ると、富士山頂から出て来るという事になるのでしょうか?
そして、この上を通って出雲大社まで行くという事ですね。
とても神秘的です。
山の中にひっそりとある元宮 神洗神社。左をよく見ると池があります。これが神洗の池です。
玉依姫命の姉である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)が出産のため海岸に上がって来ますが、出産中の姿を見られてしまったため、竜宮城へ帰ってしまいました。
(豊玉姫命は浦島太郎の乙姫様とも言われています)
豊玉姫命の子を託されたのが妹の玉依姫命で、釣ヶ崎海岸に上がって来た玉依姫命は神洗池で身を清め鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)を養育します。
そのような経緯から縁結び・子授け・出産・養育・月の物などの御神徳があるとされ、源頼朝婦人政子が懐妊の際、安産の祈願をした事が知られています。
また初代天皇である神武天皇の母である事から、清新・発祥・開運・再生など、物事を新しく始める事象が玉依姫命によって守護されると言われています。
宮出しの様子
祭り当日は参道にたくさんの露店が並びます。
鳥居は真東を向いていて、春分の日と秋分の日には九十九里浜から昇った太陽に照らされます。
天狗様って言ってる人がいましたが猿田彦ですね。
みちひらきの神様で、物事を良い方向へ導いてくれます。
お賽銭を渡して玉串をいただき、お祓いをしてもらっている人がたくさんいました。
外国の若い女性がこの玉串を大切そうに持っている姿も見かけました。
願いが叶うといいなと思います。
玉串をさらしに挟んで神輿を担ぐ人も多く、特別な思いを感じました。
神楽殿では舞が奉納され、餅投げなども行われていました。
神輿とは神社の御霊が移されて街を渡御して行く物ですので、お供えやお祓いなど神聖な儀式が行われます。
一同手締めで神輿を担ぎます。
私はこの場面が潔く、日本を感じられて一番好きです。
ゆっくりと鳥居をくぐって行きます。
と思ったらダッシュに近いスピードであっという間に見えなくなってしまいました。
釣ヶ崎海岸までは5キロほどありますが、2時間かけて移動して行きます。
この後玉前神社の駐車場にシャトルバスが来て、我々も移動できます。
釣ヶ崎海岸 神輿参集
九十九里浜を神輿が次々と移動して来ます。
それぞれに各神社の御霊が入っていて、地元を渡御しながらここへ集まって来ます。
神輿どうしを擦り合わせるかのように神様を再会させます。
魂振り(たまふり)と言って、神輿を荒々しく揺さぶる事で御霊が刺激されてパワーが強くなります。
そうする事によって、地域の災いを取り除き、五穀豊穣や疫病退散などのご利益があるとされています。
神輿はただのお祭り騒ぎではなく、そのような目的があって行われています。
玉前神社の大宮と若宮神輿が到着して全員集合すると、他の神輿も大きく揺らして歓迎します。
高く差し上げられた神輿が少しずつ近づいて一直線になった時、胎内くぐりと言って鳥居の方から全部の神輿の下をくぐらせてもらえます。
これには感動して涙を流す人もいました。
そして1基ずつ猛ダッシュで鳥居をくぐり、各地区へ帰って行きます。
老若男女入り混じって、盛大に行われました。
最後に動画を用意してありますので、良かったら見てみて下さい。
宮入りの様子
宮入りまでの間、各神輿は別れを惜しむかのように練り歩きます。
すごく活気があります。
最後は走って一気に神社に入って行きます。
神社本殿の周りを3周廻り最後の大盛り上がり。
最後も手締めでビシッと終わります。
素晴らしい光景です。
神職によって御霊が神社に戻され、お祓いを受けます。
祝詞が奏上されお祭りは終わりとなります。
動画を見る
文章だけでは伝わらない部分がありますので、動画にしてみました。
お祭りが神事だという事を意識して編集しました。
玉前神社の場所
千葉県長生郡一宮町一宮3048
0475-42-2711
https://tamasaki.org/index.htm
釣ヶ崎海岸の場所
千葉県長生郡一宮町東浪見
上総一の宮周辺の宿泊施設
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4年ぶりに行われた上総十二社祭りでしたが、多くの人により盛大に行われました。
そして、この祭りに対する地域の方々の思いを強く感じる事が出来ました。
今回の取材で感じた事は、「地域の人が親切」だという事です。
このようにオープンな気質の土地柄なので、老若男女、移住者、サーファーなどが一緒になって、この歴史ある祭りが維持されているのだと思いました。
これから1年間、地域の安全と繁栄、特に川の氾濫による水害など多い地域ですので、被害が無いよう守っていただけたらと思っています、
また来年、神々が再会出来ることを祈っています。