千葉県市原市の「チバニアン」という世界的に有名な地層が発見され話題になりました。
地球の「磁場逆転」を見る事が出来るのだとか。
千葉の名所を紹介する私としてはぜひ取り上げたい場所なのですが、何が凄いのか分かりませんでした。
ただ川と地層があるだけですので。
それでも諦めずに色々な資料を見て、何となく理解した所で3度目の訪問。
朝一番で行ったのが良かったのか、詳しく説明を聞くことが出来ました。
そして、チバニアンがどれだけ貴重な物なのかようやく納得出来ました。
現在周辺の環境を整備中で今後話題になると思いますので、予備知識としてチバニアンの凄さを出来るだけ分かりやすく説明出来たらと思います。
深海にあった地層が地上で見られる事
チバニアンが凄いという要因の1つは1000m級の深海にあるはずの地層が地上で見られることです。
千葉県は深い海の底でした。
千葉県のまわりの海底では、北米プレート・太平洋プレート・フィリピン海プレートという移動する3つのプレートが交差しています。
それらの接点が擦れる事で地震が起こるのですが、長い年月をかけて押し上げられて地上に出て来たのが房総半島です。
そして、水の流れで削られて出来た養老川は谷底を蛇行しながら流れています。
その削られた所に何万年前の地層が出現したという事です。
太平洋側から押し上げられたので東京湾に向かって斜めの地層になっていて、久留里の自噴井戸などもこの地層による物だと言われています。
年代が特定出来る事
地質学的には46億年前に地球が誕生し、現在に至るまでの状況を地層から細かく区分しています。
上の表は大まかな物でその時代の痕跡が顕著に表れる場所はさらに細かく分類されていて、その土地の名前が付けられています。
チバニアンが認められる決め手となった要因の2つ目は「白尾(びゃくお)火山灰層」です。
斜めに走る白い地層は、77万4千年前に長野県の御嶽山が噴火した時の火山灰が堆積した地層だという事が研究の結果判明しました。
湿っていて白く見えませんが、斜めに走った線が白尾火山灰層です。
という事は斜めの線が77万4千年前となり、下はそれ以前の地層で、上がそれ以降の地層となります。
火山灰は風によって運ばれ堆積するのですが、この場所ほどはっきりと残っている場所は無いという事なのです。
上の表の新生代・更新世のカラブリアンの後に区切りを付けたという事になります。
しかも、その地層には「磁場逆転」という現象が表れています。
磁場逆転とは
方位磁針は常に赤が北を指しますよね。
これは地球に磁気があるからなのです。
しかし、地球の歴史の中で北と南が逆になるという事が何度も起こっています。
これが磁場逆転です。
写真の地層に杭が打たれていますが、赤い杭の地層には現在と反対の磁気が表れていて、緑の杭の地層には現在と同じ磁気が表れています。中間の黄色の杭の地層にはどちらともない不安定な磁気が表れています。
チバニアンが認められる要因3つ目は、77万4千年前に磁気が今と逆だった事と、その後64万5千年の間に今と同じ状態に逆転しているという事を証明しているという事なのです。
そして、77万4千年前~12万9千年前が「チバニアン(千葉時代)」と認定されたのです。
それ以降磁場逆転が起こってないので最後の磁場逆転を目の前で見る事が出来るという事なのです。
凄いですよね!
なぜ磁場逆転したと分かるのか?
海底に堆積した砂や土の中には砂鉄のような磁気を帯びた物があります。
それらが地球の磁気に影響されて同じ向きを向いて地層に残ります。
その向きが赤・黄・緑の地点で採取した地層では異なっているため、その時代に磁場逆転が起こった事が分かります。
イタリアにも同じような地層が発見されましたが、市原市田淵の地層の方がチバニアンという地質年代に名を刻む事になりました。
地層を見ていると水が滴る場所が多い印象でした。
これも砂で風化しやすい地層を保存するのに良い環境なのだそうです。
このように多くの軌跡が重なっているのだという事を知りました。
チバニアンの場所
千葉県市原市田淵1157
まとめ
最後の磁場逆転を証明したチバニアンですが、未来に磁場逆転が起こったらどうなるのかは現在研究中だという事です。
鳥は地球の磁気を感じて方角を判断していると言います。
また、太陽から吹き付ける高温粒子を防いでいるのも地球磁気だという事です。
チバニアンでの発見が研究の役にたってくれたらいいと思います。
77万4千年前の地層や化石を目の前で見る事が出来る、ある意味凄いパワースポットとも言えるチバニアンの「何が凄いのか」という話でした。
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