平成9年に開通した東京湾アクアラインの通行料金は最初4,000円でした。
それほど莫大なお金がかかった工事だったという事ですが、あまりにも高いので徐々に値下げになり、ETCの普及とともに800円になりました。
ちょくちょく利用する者としてはすっかり定着した800円ですが、週末の渋滞が深刻化されています。
千葉に観光に来てくれる人が多いという事は良い事ですが、日曜の午後に県外で急用ができたとしても、車で千葉から出れない状況です。
そこで通行料金が
土日祝日13時~20時が800円→1,200円、
20時~24時は800円→600円になりました。
0時~13時は800円のままです。
これで分散してくれればいいのですが、この程度の差でそんなに変わりますかね?
熊谷千葉県知事は「橋りょう部に関しては6車線に拡幅する余地があって、トンネルをもう1本掘る事が出来る構造になっている」という事で、国に要望を出すとの事。
本当に車線を増やせるのか?
疑問に思っていた矢先に「海底トンネルに潜入!東京湾アクアライン裏側探検」というツアーが4年前から開催されている事を知りました。
さっそく申し込んで、普段立ち入る事の出来ないエリアをガイド付きで案内してしてもらいながら、該当の箇所を見て来ました。
さらに、トンネル内で災害に巻き込まれた時の避難経路や設備の説明など、「知っててよかった」と思える体験が出来ました。
まだあまり知られていないプログラムではないかと思いますのでおすすめです。
アクアライン開通前はこんなだった
1997年12月18日にアクアラインは開通しました。
その少し前、長男の出産のため帰省している静岡の妻の実家と、千葉県勝浦市を頻繁に行き来していました。
千葉県の高速道路は浜野までしかなく、勝浦から高速に乗るまで一般道を1時間半、京葉道か東関道を通り、東名までは首都高を経由します。
それしかルートがなかったので当然のごとく首都高は渋滞していました。
葛西で降りて三軒茶屋でまた高速に乗る、なんて事もありました。
首都高を通るには夜中しか空いていません。
静岡からの帰り道、渋滞が酷すぎて横浜町田から迂回した時があります。
狩場線からベイブリッジ、横羽線へ行こうと思ったらその先へ続いています。
行ってみたらずっと直線の湾岸道が開通したばかりでした。
そこから東関道を回って千葉まで帰ったのですが、その時は感動でした。
それから半年ほどして仕事の関係で袖ケ浦に住んでいて、アクアラインが開通した事を知りました。
首都高を通らず東名に行けるという事で、アクセスが劇的に良くなりました。
それからも圏央道や新東名やC2環状線が出来たおかげで、首都高の渋滞はかなり減ったと思います。
その頃は川崎浮島から木更津港へのフェリーもありました。
男女七人秋物語のフェリーです。
川崎浮島までのアクセスも悪く、木更津からのアクセスも悪く、船に乗っている時間も長く、今思うとそれほどまでに都心が渋滞していたという事が思い出されます。
東京湾横断道路という名で東京湾に道路を通すとハマコーさんが公言していましたが、本当に実現してすごい功績だと思います。
房総へのアクセスが良くなり、高速バスが通る事で木更津周辺から東京への通勤が可能になりました。
大多喜辺りからはローカル線で大原まで出てから外房線でしたが、今はバスで1時間程で東京駅まで行けるようになりました。
東京湾アクアライン裏側体験
毎週火曜日から金曜日までの毎日開催
個人の方「火曜日」「水曜日」
団体の方「木曜日」「金曜日」
【午前の部】10:00〜11:30【午後の部】14:00〜15:30
集合場所は、海ほたる1F トイレ前
※参加には予約が必要です🔽
東京湾アクアライン裏側体験🔽
https://www.umihotaru.com/ait_tanken/about_tours.html
海ほたる1階トイレ前に集合すると、駐車場を通って控室へ案内されました。
こんな場所があったとは。
アクアラインの資料や模型がたくさん置かれています。
まずは映像でアクアラインの工事風景やトンネルの構造などの予備知識をインプットしてから、実際のトンネルを探検します。
アクアラインは全長15㎞で、そのうち木更津側5㎞が橋で、川崎側10㎞が上り下り2本のトンネルとなっています。
まずは川崎浮島と海ほたる、そしてトンネル中間地点に空気取り入れ口としても利用される風の塔が、シールドマシンの入り口として建設されました。
これは海ほたるにあるモニュメントですが、こんなに大きなシールドマシンが使われました。
川崎側から、木更津側から、そして風の塔からはそれぞれ川崎側と木更津側へ同時に掘り進んでいきました。
トンネルが2本なので計8本のシールドマシンが導入されました。
第3のトンネル
海ほたるの下には南から川崎方面のトンネルと木更津方面のトンネルがあって、その隣にもう1つトンネルがありました。
これが、将来必要になった時のために用意されたトンネルです。
川崎側もトンネルに入る時に四角いトンネルが見えます。
ここから先は一般の人は入れないエリアです。
この辺りが海底の高さだとの事です。
「なぜ四角?」という質問が出ましたが確かに。
シールドで掘ったのなら丸いのでは?
そうなんです。このトンネルは最初にシールドマシンの入り口を作った時のトンネルで、300mしか続いていません。
もし第3のトンネルが必要になったら、ここから掘って行くという事になります。
しかし現段階では何も計画は無く、将来的に対応出来るように準備してあるそうです。
当初「電車を通す事も可能」と言われていたのも、ここの事だったのですね。
ガイドさんの話では開通当初の費用がまだ回収出来ていなくて、新たにトンネルを掘るとなると莫大なお金が必要となるので、簡単な話ではないとの事。
でも本当に必要ならば動くかもしれませんね。
いずれにしても、これから検討して必要ならばそれから掘るという話でした。
車でトンネルに入る時に気を付けて見ていると、しばらく四角いトンネルですが、丸くなる場所があります。
そこからシールドマシンで掘ったという事ですね。
実際の避難通路を探検
シールドマシンで掘られた丸い穴の上は道路で、その下は緊急避難通路になっています。
トンネル内で火災が発生した場合でも緊急避難通路に煙が入って来ないように気圧が高くなっています。
入り口のドアを開けると風がヒューっと吹いて来ます。
この上40㎝を車が走っています。
これが避難用滑り台です。
効率よく大勢の人が避難できるように研究されています。
ちなみにこの滑り台は、映画であの前田敦子さんが滑った物なんだそうです。
緊急電話は避難通路にもあります。
受話器を取ると繋がり、パニックで状況が伝えられなくなった人や、外国人など言葉が通じない人のために、何種類かのボタンを押して状況を伝える事ができます。
携帯でかける時には「#9910」で繋がります。
落下物を発見した時などにもこの番号だそうです。
通報しても消防隊が来るまでには時間がかかります。
そんな時の初期消火は非常に重要です。
危険ですので気をつけなければなりませんが、ふたを開けて手前のレバーを引くと水が出ますし、消火器も入ってます。
家族が危険な状況な時とか、必要な場面があるかも知れませんので、覚えておくといいと思います。
また、「避難する時はエンジンを止め、車のキーロックはせずに、鍵はつけたまま」だそうです。
渋滞で消防車がトンネルまで来れない場面を想定して、海ほたるには消防車と救急車があります。
木更津から何らかの形で消防隊員がここに来て、先ほどの避難通路からアプローチします。
車両は毎日点検して、毎週動かしているそうです。
水と薬品が避難口ごとにあり、ここでホースをつないで写真の坂を駆け上がって現場に行けるようになっています。
このような設備が300mごとにあって、片道33か所、往復で66か所設置されています。
小さく見える灯りが次の避難施設です。
普段は暗くなっていますが、1つでも避難口が開くと全部の電気が点灯するようになっています。
まとめ
東京湾アクアラインの渋滞が問題視され、千葉県知事から国へ第3のトンネル計画について要望が出されると報道されていました。
第3のトンネルは、工事の最初に行こなわれた、海底トンネルを掘るシールドマシンを入れるための入り口を、将来必要になった時のために掘り始めるスペースが設けてあるという事でした。
しかし、現段階ではまだ計画されておらず、莫大な費用が必要となるため、すぐにどうのこうのという話ではないようです。
混雑する時間帯の通行料金を値上げするなど、渋滞緩和対策はされていますので、まずは効果が出る事に期待をしています。