千葉県の伝統的工芸品である「房州うちわ」は、京都府の「京うちわ」、香川県の「丸亀うちわ」と共に日本三大うちわと言われています。
関東でのうちわ作りは江戸時代に始まり、房州(安房の国)は材料の竹の産地でした。
明治時代になると東京から職人が来て房州でうちわの生産が始まり、関東大震災で被害にあった日本橋の問屋が移住し、房州うちわの生産が拡大されました。
平成15年に経済産業大臣指定 伝統的工芸品に指定されています。
房州うちわの特徴
房州うちわは3年目の女竹(めだけ)を11月~1月に収穫し、うちわの長さに切って3~4ヶ月かけて乾燥させ、水で柔らかくしてから40~70本と細く割いていきます。
それを骨にして糸で編み、和紙や布を貼り付けます。
細い竹の丸みをそのまま生かした事によって柄が丸い事と、細く割いた骨を糸で編んで作られる事によって、半円で立体的な窓がある事が房州うちわの特徴です。
細くて良くしなるので少し扇いだだけで柔らかく良い風が来ます。
房州うちわ振興協議会が房州うちわ作りの体験をさせて下さるという事でさっそく行って来ました。
匠に学ぶ房州うちわ作り体験
房州うちわの製造工程は21あります。
竹を切って来る所から骨組みが完成するまでの15工程は職人さんがやってあり、我々は貼りから仕上げまで体験します。
まずは骨にのりをつけていきます。
お手本の通りにやらないと、付けちゃいけない所にのりが付いてしまったり、まんべんなく貼りつかなかったりするのでしっかりとまねします。
最初に裏の紙を貼ります。
さすが職人さん、上手です。
のりが乾かないうちに骨の位置を均等にしていきます。
表の紙を選び貼っていきます。
空気が入らないようにしっかりと、でも優しく、微妙な力加減で貼り付けます。
はみ出している骨はハサミで切ります。
軽く乾燥させている間に職人さんが竹を割る作業をやって見せてくれました。
細い竹を4本→8本と細くしていきます。
この細さをさらに5分の1まで細くします。
これはまさに職人技。まねできません。
「1日いくつ作れる?」の質問に、「各工程ごとにまとめて作業をするので一概には言えないが、全体的に見て1日3本くらいかな?」との事。
房州うちわは2,500~3,000円で手に入るので、安いと思います。
100円ショップで何でも手に入る時代に、伝統的工芸を受け継ぐ人は「維持するのが大変だ」とおっしゃる方が多いです。
知名度が上がってもっと高く売れるように、これからもこのような体験に参加して発信していきたいと思いました。
細い紙をヘリに貼って行きます。
これを貼ると高級感が出て来ます。
これも房州うちわの美しさの要因だとの事ですが、骨を軽くなぞる事によって骨の線を浮き立たせます。
手前はまだやってない状態で、奥は仕上げをした状態です。
両脇に出ている紐をちょうどいい長さに切って完成です。
最高のできです。
自分で使うのもったいないので、誰かにプレゼントしようかな。
あっという間の90分でしたが、房州うちわという物を深く知る事ができて有意義な時間でした。
まとめ
最近和服が流行していて、男性も和服で歩くのがかっこいいという傾向にあります。
房州うちわは和服にとても合うので、人気のアイテムになって欲しいです。
今回指導してくれたのは、
房州うちわ「輝」の柴田輝和さんでした。
https://kagayaki.handcrafted.jp/
「輝」以外の房州うちわ製造・販売業者
うちわの太田屋
http://ota-ya.net/
うちわ工房 和
https://uchiwakoubou-kazu.com/
房州うちわ 房州堂
https://www.bosyudo.jp/
房州うちわ振興協議会
0470-22-3362(館山市役所内)
0470-33-1092(南房総市役所内)