インバウンドが解禁になって富士山への弾丸登山が増えています。
日帰り登山は高山病のリスクが高く危険だと言われていますが、私も今年に入り富士登山のために準備していましたので、下見も兼ねて登山解禁早々に行って来ました。
初体験です。
当初は途中までのつもりでしたが「時間的に山頂まで行って来れそうだから急ごう」という欲が出た事が失敗の始まり。
体調不良で戻る事になってしまいました。
予想以上に手ごわかった富士登山でしたが、そもそも今回の登山は本格的に山頂を目指すための情報収集のため。
次回は完璧な状態で臨めるための反省点がありますので、初めての方は参考にして下さい。
山小屋を予約するにもどこまで行けるかわからない
富士山には大きく分けて4ルートあって、一番初心者向きで人気なのが吉田ルートです。
富士急ハイランド近くから富士スバルラインで5合目まで車で行けます。
各ルートには一長一短があって、吉田ルートは観光向けの要素が高く道路や登山道の渋滞の心配があります。
また、外国人も多く、軽装備で弾丸(短時間)登山に挑戦する人が非常に多いルートです。
混雑で予定通りに行けない可能性に加え、高山病などの心配もあります。
途中で泊まる山小屋を予約しなければなりませんが、そもそもそこまで行けるのか?
何時間くらいでそこまで行けるのか?
そして、日帰りは可能なのか?
体調不良で山頂まで行けませんでしたが、この疑問を解決して来ました。
5合目まで車で行けない期間がある
富士登山ができるのは、2023年では7月1日~9月10日ですが、7月10日18時~9月10日18時は混雑するため5合目まで行く「富士スバルライン」を自家用車で走る事が出来ません。
「マイカー規制」です。
須走ルートと富士宮ルートも、混雑時は規制があるようです。
御殿場ルートは今のところ規制がないようです。
マイカー規制の期間は麓の駐車場からシャトルバスを利用するか、電車の駅からのバスやタクシーとなります。
あとはツアーに参加するという手もありますね。
登山期間中に吉田ルート5合目まで車で行けるのは7月1日~7月10日18:00。
登りは午前3:00~20:00(入り口ゲートを通過した時刻)で、下りは22:00までに下のゲートを通過しなければなりません。
どういうスケジュールがベストか
まず私が考えたのは、マイカー規制前の平日の人が少ない日の前日に5合目まで車で行って、車中泊して早朝から登り始めるというプランです。
5合目まで来たら何時間か休憩して、体を気圧に慣らしてから登山した方がいいと聞いたので、スバルラインが閉まる前に到着し車中泊。
7月4日夕方の吉田ルート5合目駐車場はまだ空いていました。
駐車場の階段を上るとトイレがあります。
休憩所はありますが、バスで来てここで1晩過ごすのは大変だと思いますので、前日に着いて早朝から登り始める方は5合目売店の上にある宿泊施設を予約しておくといいと思います。
★富士山みはらし▼
http://www.fujisan5.com/
それから、スケジュールを決めるのに重要なのが天気。
今回はマイカー規制前の天気がいい日にしようと思い、この日しかないという日に決行しました.
私が参考にした天気予報です。
★てんきとくらす▼
https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=19150004&type=15
吉田ルートは写真の富士山の左はしの裏を登って行くので、最初は横に歩いて行ってから登って行きます。
途中で御来光を見る事が出来るかもしれないし、山小屋までの時間とか、体力的に大丈夫か?とか、もしかしたら頂上まで行っても夕方までには戻って来れるだろう?みたいな。
しかし、5合目でも2,305m。
2,000m以上(高齢者は1,500m)で、たちくらみ・めまい・食欲不振・息苦しい・眠れない・脱力感などがある場合は高山病の恐れがあると言われています。
おかしいと思ったら断念しましょう。
高山病は標高の低い場所へ行って気圧を下げる事が必要なので、みんなで行く時も最初からそういう約束をしておいた方がいいかもしれません。
富士スバルラインを走っている間に何度もペットボトルがパチパチ音がしていて、気圧の変化を感じました。
暗くなりワンカップを飲んで目が覚めたのが23:00で、それから一睡も出来ませんでした。
後で知ったのですが、「標高の高い所での飲酒は高山病になりやすくなる」のだとか。
すでに飲酒→眠れないという2つのマイナス要因が出ています。
でも、このくらいではまだ断念しようと思わないですよね。
翌日の日の出が4:30なので、3:30に出発して6合目で御来光を見ながらおにぎりを食べて、トイレを済ませて「よし行くぞ」という予定でしたが、駐車場で車中泊している人はほとんどいませんでしたし、このスケジュールは良くないのかも?と思いました。
夕方から暗くなる頃に駐車場に戻って来る人が多かったかな?
結論として「午後から登って8合目あたりの山小屋に泊まって翌日に山頂を目指し、夕方までに戻って来る」というスケジュールがベストだと思いました。
個人差はありますが「気圧の変化」と「空気が薄い」という事が、大きく体に影響する事を実感しました。
吉田ルート 登山開始
3:30頭にライトをつけて真っ暗な道を歩いて行きます。
富士スバルラインが3:00から通れますので、最初の車がちょうど5合目に到着していました。
彼らはこれから何時間か休憩してからの出発となります(知ってればですけど)
6合目安全指導センターへは60分となっていましたが40分で到着。
道中で富士吉田の夜景が見えた時「御来光が見れるぞ」と思った事と、「怖いから早く人のいる所まで行かなくては」という気持ちから足取りが速くなったのだと思います。
体調も良く足取りも軽かった。
それもそのはず、これは帰りの写真ですが、最初はほとんど平らで途中から下っています。
しばらくすると登りになりますが、グイグイ登って行きます。
ここを頭につけた電気の灯りだけで1人通ったと思うと怖くなります。
この辺りから明るくなって来て御来光がもうすぐですが、6合目らしき物が見えて来ないのでさらにスピードアップ(下山時の写真)
「ほとんど真っ暗な状態でよくこんな所を来たな」と思いました(下山時の写真)
6合目気温14度。汗をかいてダウンを脱ぎ、リュックを降ろそうとした時めまいがしました。
これも後で知った事ですが、「最初の6合目までの道をかなりゆっくり歩かない人は途中で先に進めなくなる」という事。
これがすべてのような気がするくらい、その後の道中で影響しました。
息もなかなか整いません。
体の酸素が少なくなってるのかな?と思い、ここでトイレに行きたくなるまでゆっくりする事にしました。
この頃になると何人か追いついてきました。
慣れている人はちゃんとペースを作って来ているのでしょう。70代ぐらいの人がノンストップで通り過ぎていきます。
私は食欲がないし、トイレは大丈夫そうだし、寒くなってきたので先に進む事にしました。
ゆっくりしてるとすぐに寒くなるのも先を急ぐ原因かもしれません。
そして見事な御来光を見る事が出来ました。
しかし、御来光を見るために山頂を目指すのが富士登山の醍醐味。
登る前に見てしまったらこれから苦労して登る意味がなくなるのでは?ともう一人の自分がつぶやきます。
以前に身延の七面山に登りましたが、登り切った先にある物は何を見てもありがたく、「ロープウェイで行けてしまったら何でもない」と書いた自分の言葉を思い出しました。
「良い写真が撮れた」という気持ちがほとんどで、神々しいという感動はなかったようです。
富士山に電車を通すなんてテレビで見ましたが、どうなんでしょうね。
吉田ルートは行きと帰りが別ルートになっていて、登りは右で左から帰って来ます。
ここから先は本8合目の下山道まで行かないと帰って来れないと思っていたので、覚悟を決めて登り始めました。
写真の上の方に山小屋が見えるの分かりますか?
あの一番下の花小屋が7合目で一番上が8合目、かなり急で遠いです。
日本一高い山は障害物がなく三角形なので、断崖絶壁じゃない安心感と開放感が半端ないです。
私の住む千葉からも大きく見えるので、視界が良ければ遠くまで見えるんでしょうね。
ジグザグの登山道をひたすら登ります。
ここを目指してある程度鍛えて来ましたので足がパンパンで登れないという事はなく、階段じゃなく坂なのでかえって楽でした。
しかし、呼吸の乱れが凄くて10m進むと立ち止まって深呼吸を5回する感じです。
30分ほどすると落ち着いて来ました。
大きく呼吸をしながら歩幅を小さくして歩くタイミングがつかめたようです。
歩いては立ち止まりという状態はあまりよくないようです。
ゆっくりと止まらないで歩ける状態をキープ出来ないと、山頂まで行くのは厳しいです。
まして弾丸で山頂まで日帰りなんて。
断念する人が出て来た
けっこう追い越されましたけど、下山する人とすれ違うようになってきました。
本8合目から下山専用の道を通らないとだめだと思っていましたが、体調不良などでダメなら引き返す事も出来るんですね。
そういう人が増えると渋滞したり石が転がったりするので、弾丸登山が問題になってたりするのかもしれませんね。
下山する人を見て急に気持ちが緩んでしまいましたが、とにかく「山小屋までの道のりをレポートしなければこのミッションが完結しない」と心に言い聞かせて頑張る事にしました。
登山で一番大事なのは「なんのためにそこまで行くのか」だと思います。
龍脈やレイラインなどのパワースポットに興味のある方は富士山頂は外せない場所であると思いますし、コノハナサクヤヒメが祀られている浅間神社奥宮に参拝したいなど、強い気持ちがないと難しいと思います。
そうじゃないとただの砂山だし、山頂まで行かなくてもどこからでも絶景なので。
7合目が近くなって来ました。
最初が花小屋で2,700m。
赤い鳥居の鳥居荘がけっこう上の方に見えるので、一番上の左の建物が東洋館(3,000m)かな?
その先は傾斜が少し緩やかになるのか?見えません。
花小屋から東洋館は90分、そこから本8合目(3,400m)までは90分、そこから山頂(3,776m)まで90分が目安だという。
最初の花小屋直前で岩を登る事になります。この先はこういう岩場が多くなります。
花小屋から先はこのように山小屋が連続してあります。
5合目からここまでの所要時間は2時間。
山頂まではまだ4時間以上かかります。
今回はめまいと呼吸の乱れがおさまらず、ここで長めの休憩して来た道を戻る事になりました。
最初に飛ばし過ぎたのが最大の失敗で、次は本8合目まで行けると確信しました。
とは言え山頂まで一気に登るのは大変ですので、「4時間ぐらい頑張って8合目付近の山小屋に泊まってから早朝に山頂を目指すのが成功する確率が高い」のではないかと思いました。
少し下ると体調が良くなって来て、やはり高山病の症状が出て来てたのだと実感します。
これから登る人とすれ違いましたが、弾丸ぽい人が多かったよう感じました。
あまりの軽装に、下山者からトレッキングポールをもらってる人もいました。
下りは最初は楽ですが足への負担は大きく、翌日の筋肉痛はその辺りがほとんどでした。
ずるずる滑るので、トレッキングポールか杖は必須です。
杖は5合目や山小屋に売ってました。
下山してからは何度も車を停めて爆睡しながら帰宅、翌日には症状はほとんどなくなりました。
前泊の夜には救急車が来ていましたが、無理をすると最悪死に至るという事ですので、異変を感じたら下山する決断が必要です。
まとめ
山頂を目指すために必要な事はたくさんありましたが、せっかく行ったのに諦めるという決断に至らないために、次の事をしっかり頭に入れてリベンジしようと思いました。
5合目から6合目までは速く歩けるがあえてゆっくり歩く。
初めての登山では4時間ほどで8合目付近まで登り、山小屋に泊まって山頂を目指す。
山頂まで行かなければならない強い思いを持って登らないとモチベーションが上がらない。
という事です。
それ以前に装備は重要で、ズボン1つで疲れ方が全然違って来ます。
その事についても書いていますので参考にしてみて下さい。
コメント